研究紹介

リモートセンシングを用いた有益な価値・知識の創出

当研究室では日々進化する多種多様なセンシング技術を用いた地球観測リモートセンシングの研究に取り組んでいます。

リモートセンシングとは語意通り「離れた地点から物事を観測する」研究です。 この離れた地点から観測する手段として「人工衛星」や「航空機」、「UAV」等を用い、それらに搭載されたセンサで紫外線・可視光からマイクロ波などを検出することで、離れた地点の対象を観測することができます.

これらの観測手段が獲得したさまざまなデータから役に立つ情報を取り出し、さらには人間や社会にとって有益な価値や知識を創出することが当研究室の大きな目的です。

<現在の主な研究テーマ>

  • ハイパースペクトル画像に関する研究
  • SAR画像を用いた災害検出の研究
  • 複数の観測データを用いた新たなデータ融合・創出
  • ステレオ視差画像を用いた高精度DEM画像の作成

ハイパースペクトル画像に関する研究

ハイパースペクトル画像とは図のように空間方向に加え、波長方向にも大きな次元をもつキューブ上のデータです。各ピクセルで波長方向の情報量が増えることで観測物の詳細な情報把握が可能となり、森林管理、精密農業、生態系監視、資源探査、海底深度計測など、地球観測における幅広い用途に役立ちます。その一方で、多くのバンドが互いに相関することで生じるデータの冗長性や,解析目的に寄与しない波長情報は、解析結果を悪化させる可能性もあります。そのため、高次元なスペクトルデータから有用な情報を取り出す技術が非常に重要であり、当研究室ではハイパースペクトル画像からの有用な情報抽出に関する研究を主に行っています。

ハイパースペクトル画像(左)と機械学習による地上クラス分類結果(右)

SAR画像を用いた災害検出の研究

SAR画像は合成開口レーダ(SAR: Synthetic Aperture Rader)を用いたマイクロ波長の画像データです。SAR画像を得る際には、衛星自身のアンテナから射出したマイクロ波を地表面上で反射・散乱させてアンテナで検出する能動型のセンサです。一般的な可視光周辺の波長を用いた光学衛星で用いられる受動型のセンサでは夜間や曇り・雨では充分に観測をすることができません。一方でSARは雲や霧、ある程度の雨を貫通する長い波長のマイクロ波を能動的に照射するため、昼夜を問わずほぼ全ての気候条件で観測することが可能となり、夜間海洋観測、農学分野、災害対応など様々な用途に役立ちます。当研究室では特にSARの常時観測性を活かした災害発生時の浸水地域や地すべり、地殻変動量の検出の研究に取り組んでいます。

複数の観測データを用いた新たなデータ融合・創出

近年の科学技術の発展に伴って、衛星によって得られるデータは質と量の両面でますます増えています。その種類は様々で、自動車の車種まで判別できるような超解像度な衛星画像や地球上全ての地点を高解像度で毎日観測できるコンステレーション衛星画像、雲も透過できるSAR画像、非常に細かい波長分解能で高精度に樹木の種類を判別できるハイパースペクトル画像など非常に多岐にわたります。当研究室ではこれらのデータを単一で解析するだけでなく、複数の衛星画像を融合して統合的に解析する研究を行っています。